【完全解説】内装工事の費用は減価償却できる?基本・耐用年数・仕訳方法までわかりやすく解説
事務所や店舗の内装工事を行ったとき、「この費用は経費にできるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、内装工事の費用は「減価償却」と呼ばれる会計処理によって、何年かに分けて経費にすることがあります。
この記事では、減価償却の基本から、耐用年数の考え方、具体的な仕訳例まで、税務の視点も交えて分かりやすく解説します。
内装工事の費用は減価償却できるの?基本の考え方を解説

まずは、内装工事がなぜ減価償却の対象になるのか、その基本的な考え方を紹介します。
減価償却とは、時間をかけて費用にする会計処理のこと
減価償却とは、事業で使う建物や設備などの「高額な資産」を、一度に経費とせず、数年かけて少しずつ経費にする方法です。
たとえば、100万円のエアコンを買ってすぐに全額を経費にするのではなく、5年なら毎年20万円ずつ計上するのが減価償却です。
内装工事も金額が大きくなることが多いため、基本的には減価償却の対象です。
この処理は会計だけでなく、税金の計算にも関わる重要なルールです。
内装工事は「資本的支出」に該当すれば減価償却が必要
内装工事の費用が「資本的支出」とされる場合、減価償却の対象になります。
資本的支出とは、建物の価値を高めたり、耐久性を向上させるような工事のことです。
例えば、新たに壁を作る、トイレを増設する、天井を張り替えるなどの工事が該当します。
このような工事は、単なる修理とは違い、建物の資産価値を上げるため減価償却が必要になります。
金額や内容によって「修繕費」と判断されるケースもある
ただし、すべての内装工事が減価償却の対象になるわけではありません。
建物の機能を元に戻すだけの工事や、比較的少額な工事は「修繕費」として一括で経費にできます。
たとえば、壁紙の張り替えや、壊れたドアの修理などが該当します。
減価償却にするか修繕費にするかの判断は、税務署の指導なども参考にすることができます。
内装工事の減価償却における耐用年数の決め方とは?
減価償却を行うには、工事内容に応じた「耐用年数」の設定が必要です。
建物の種類や構造によって耐用年数が決まる
耐用年数とは、資産を使用できる年数を意味し、減価償却を行う期間を示します。
たとえば、鉄筋コンクリート造のビルと木造の店舗では耐用年数が異なります。
これは建物の耐久性や構造の違いによって定められています。
内装工事も、対象となる建物の種類によって耐用年数が変わるため注意が必要です。
国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で確認できる
耐用年数は自分で勝手に決めるものではなく、国税庁が定めるルールに従います。
具体的には、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」という別表で確認できます。
この省令では、建物附属設備や内装に関する資産ごとに細かく耐用年数が定められています。
たとえば、照明設備は15年、空調設備は13年など、種類ごとに異なります。
中古物件の場合は短縮された耐用年数を使える
中古物件に内装工事を行った場合、耐用年数は新築とは異なります。
国税庁は中古資産に対して「簡便法」によって、耐用年数を短縮して計算できる制度を認めています。
これにより、短期間で減価償却が完了するため、節税効果を早く得られる可能性があります。
中古物件を活用して事業を始める個人事業主や法人には、有利な制度です。
内装工事の減価償却をするための仕訳の基本ルール

減価償却を行うには、会計帳簿への正しい記録(仕訳)が必要です。
内装工事の費用は「建物附属設備」や「工具器具備品」で仕訳する
内装工事の内容によって、使用する勘定科目(仕訳項目)は異なります。
例えば、エアコンや照明の設置は「建物附属設備」として仕訳します。
机や椅子、パーテーションなどは「工具器具備品」で処理します。
それぞれの内容を正しく分類して、仕訳帳に記録しましょう。
資産計上後は耐用年数に応じて毎年減価償却費を計上する
資本的支出として処理した費用は、まず資産として「資産計上」します。
その後、耐用年数に基づいて、毎年決まった額を「減価償却費」として経費にしていきます。
たとえば、100万円の内装費用で耐用年数が10年なら、毎年10万円を経費に計上します。
これを忘れると帳簿や税務申告にミスが生じるので注意が必要です。
減価償却の方法には「定額法」と「定率法」がある
減価償却には主に「定額法」と「定率法」の2種類の方法があります。
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。
一方、定率法は初年度に多く、年を追うごとに少なくなる計算方法です。
中小企業や個人事業主は、原則として「定額法」で処理することが求められます。
内装工事の減価償却に関する仕訳の具体例を紹介
ここでは、内装工事の具体的な仕訳例をいくつかご紹介します。
事務所の内装工事を行った場合の仕訳例
例えば、新たに壁を作り、床を張り替えた工事費が150万円かかったとします。
このような工事は建物の資産価値を高めるため「建物附属設備」として資産計上します。
仕訳:建物附属設備 1,500,000/現金または未払金 1,500,000
その後、耐用年数に応じて毎年減価償却費を計上します。
エアコンなどの設備を設置した場合の仕訳例
エアコンを設置し、費用が80万円だった場合、「建物附属設備」として処理します。
仕訳:建物附属設備 800,000/現金または未払金 800,000
耐用年数13年なら、毎年約61,500円の減価償却費を計上します。
仕訳:減価償却費 61,500/減価償却累計額(建物附属設備) 61,500
耐用年数に基づいた減価償却費の仕訳例
内装工事にかかった金額が120万円で、耐用年数が10年の場合、毎年の減価償却費は12万円です。
仕訳:減価償却費 120,000/建物附属設備 減価償却累計額 120,000
この処理を毎年繰り返すことで、税務上も正しく経費計上できます。
仕訳ミスがあると、税務調査の際に指摘を受けることがあるため注意しましょう。
内装工事の減価償却と修繕費の違いに注意しよう

減価償却と修繕費は似ているようで大きな違いがあります。間違えると税務リスクにもつながるため注意が必要です。
修繕費は一括で経費にできるが、減価償却は分割で計上する
修繕費は、支出した年にすべて経費にすることができます。
たとえば、壁の塗装やドアノブの交換など、小規模な修理が該当します。
一方で、減価償却は、支出した年にすべて経費にできず、何年かに分けて少しずつ費用化する必要があります。
この違いを理解し、適切に処理することが求められます。
原状回復が目的か価値を高めるかで判断される
修繕費か資本的支出かの判断基準の一つが「原状回復」かどうかです。
テナント退去時の原状回復費用や、壊れた設備を元に戻すだけの工事は、修繕費として処理できます。
逆に、新たに設備を取り付けたり、デザイン性を上げたりする工事は建物の価値を上げる行為とみなされ、資本的支出として減価償却の対象になります。
この区別は曖昧になりがちなので、税理士などの専門家に相談すると安心です。
判断基準は「金額」・「工事の内容」・「使用目的」などにある
国税庁は、修繕費と資本的支出の判断基準として、以下の点を示しています。
① 工事の金額が20万円以上かどうか。
② 建物の価値を増やす内容かどうか。
③ 使用目的が変わる工事かどうか。
これらのポイントをもとに総合的に判断する必要があります。
明確な線引きがないケースもあるため、処理に迷ったときは税理士に確認しましょう。
個人事業主が行う内装工事の減価償却のポイント
個人事業主の場合でも、内装工事の費用は正しく減価償却する必要があります。
青色申告をしていれば減価償却費を経費にできる
個人事業主が内装工事を行う場合、青色申告をしていれば減価償却費を毎年経費にできます。
白色申告では詳細な帳簿付けが求められないため、減価償却のメリットを十分に活かせません。
そのため、工事費が大きい場合は、青色申告に切り替えることをおすすめします。
青色申告特別控除などのメリットもあり、節税効果も高まります。
少額なら「一括償却資産」や「少額減価償却資産」として処理できる
個人事業主が購入・工事した設備の金額が少額(30万円未満)であれば、減価償却せずに一括で経費にできる制度があります。
これが「少額減価償却資産の特例」や「一括償却資産の制度」です。
10万円未満の資産なら、無条件に全額を経費にできます。
この制度を使うことで、帳簿付けの手間が省け、早く節税効果が得られるのもメリットです。
生活用と事業用が混在する場合は按分処理が必要
自宅兼事務所のように、内装工事をした場所が生活にも使われる場合、費用全額を経費にすることはできません。
このような場合は、「按分(あんぶん)」といって、事業に使った割合だけを経費にします。
たとえば、床面積の50%が事業用なら、工事費の50%だけを減価償却の対象にします。
按分の基準は「面積」「使用時間」「利用状況」などをもとに決めるのが一般的です。
法人が行う内装工事の減価償却の注意点とは?

法人が内装工事を行う場合、個人よりも会計処理や税務処理の厳密さが求められます。
耐用年数と勘定科目の選定が税務調査で重要視される
法人では、資産計上する際に「耐用年数」と「勘定科目(建物附属設備・器具備品など)」の選定ミスが指摘されやすいです。
間違った耐用年数を使うと、減価償却費の計上額が変わり、税務署から修正を求められる可能性があります。
正しく処理するには、国税庁の耐用年数表を参考にしましょう。
また、経理担当者や税理士との連携も重要です。
資本的支出と修繕費の判断ミスがリスクになる
法人の場合、内装工事の金額が大きくなる傾向があり、修繕費か資本的支出かの判断が難しくなります。
判断を誤って修繕費で処理してしまうと、税務調査で否認されるリスクがあります。
特に1回の工事で数百万円以上かかる場合は、税務リスクが高まるため、事前に税理士の確認を受けるのが安全です。
過去の判例や国税庁のQ&Aを参考にするのも良い方法です。
固定資産台帳への記載と償却記録が求められる
法人は、資産計上した内装工事について「固定資産台帳」に詳細な情報を記載する必要があります。
台帳には、取得日、取得金額、耐用年数、減価償却累計額などを記録します。
また、毎年の減価償却費の計算記録を残すことで、税務調査時に根拠を示すことができます。
これらの管理をきちんとしておくことで、税務リスクを回避できます。
内装工事の減価償却でよくある質問まとめ
最後に、内装工事の減価償却に関してよくある疑問にQ&A形式でお答えします。
居抜き物件での内装工事も減価償却できる?
はい、できます。居抜き物件であっても、新たに工事を行った場合は、その費用を減価償却の対象にできます。
ただし、前の入居者の工事をそのまま使うだけなら、新たな資産としては扱われません。
新しく資本的支出をしたかどうかがポイントです。
契約内容や工事内容を明確にして、処理の根拠を残しておきましょう。
賃貸物件の内装費用も資産計上するの?
はい、賃貸物件であっても内装工事を行えば、その費用は資産計上して減価償却する必要があります。
「借主負担工事」として、賃借人の資産として扱われます。
耐用年数は、建物の残りの契約期間または法定耐用年数のいずれか短い方を使うのが一般的です。
賃貸契約終了時の取り扱いにも注意しましょう。
途中で退去したら残存簿価はどうなる?
賃貸契約の途中で退去した場合、まだ償却しきれていない「残存簿価」は、除却損として処理できます。
つまり、残っていた内装工事の未償却分は退去時にまとめて経費にできます。
ただし、撤去して持ち出せる設備がある場合は、処理方法が異なる場合があります。
会計処理の判断は税理士に相談するのがベストです。
減価償却の計算方法は自分でやるの?
可能ではありますが、正しく計算するためには簿記や税務の知識が必要です。
法人・個人にかかわらず、税理士や会計ソフトのサポートを受けるのが安心です。
とくに内装工事のように金額が大きい場合は、誤った処理が税務トラブルの原因になります。
税理士との連携で、安心して節税・経費処理を進めましょう。
まとめ|内装工事の減価償却を正しく理解して仕訳しよう

内装工事の会計処理は、費用が大きいため正しい判断が必要です。
「資本的支出」か「修繕費」かを判断することが大切
まず、工事の内容が資産価値を上げるものか、修理・復旧目的なのかを見極めましょう。
この判断で、減価償却か一括経費かが決まります。
判断が難しいときは、迷わず専門家に相談しましょう。
耐用年数に基づいた正しい計算と仕訳が必要
減価償却する場合は、国税庁の耐用年数表に基づいて、正しい期間・金額で仕訳を行うことが大切です。
定額法・定率法などの計算方法も確認し、自分に合った方法を選びましょう。
会計ソフトや専門家のサポートも積極的に活用するのが安心です。
個人・法人ともに会計処理と税務リスクに注意しよう
減価償却の処理を誤ると、税務調査での指摘や追徴課税のリスクがあります。
個人事業主も法人も、帳簿付けや固定資産台帳の管理をきちんと行いましょう。
正しい処理によって、安心して経営や事業運営ができるようになります。
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